漢和GROUP
上海漢和貿易有限公司
董事長 高啓洋氏
総経理 安原久満氏
「一本のワインからスタート」
<前回の続き>
−スタッフにワインに関する知識の教育等は行っていますか?
(安原) ワインに関する知識ももちろん重要ですが、それよりも実際にスタッフにワインを飲んでもらって、味を知ってもらうことを大事にしています。お客様も、スタッフから実際に飲んだ感想を伝えてもらう方が、信憑感がわくと思うのです。例えば、ソムリエさんが使うような、「ブラックカラントの香り」とか「スモーク」といった表現は、言われても中々ピンとこないですよね。そこで、我々は、日本のワインショップでもよく使われているような、赤ワインであれば、「重い」と「軽い」、白ワインであれば、「甘い」と「酸っぱい」といったシンプルな言い回しでお客様に説明するようにしています。
−今後事業を拡大していく上で行っているプロモーション、マーケティング戦略はありますか?
(安原) プロモーション方法は色々ありますが、例えば、毎週末店頭で商材を変えてテイスティングを行ったり、ギフトシーズンには、ギフトボックスを作ったりもしています。
(高) 我々は、なによりもまず、中国輸入ワインのマーケットシェアを取ることを一番に置いています。これは時間との勝負です。その展開に応じて、客層を絞っていくということも考えていますが、まずは日系企業であるという強みを生かして日系の百貨店とジョイントしてどんどんマーケットを拡大していきます。逆に、中国国営の百貨店などはコネクションがないため難しいですからね。
−具体的に他社との差別化は行っていらっしゃいますか?
(安原) ワイン業界では、誰も思いつかないような難しいことを行うわけではないので、差別化といっても、とてもシンプルです。取引先やお客様に対してのレスポンスを早く、マメに営業を行い、配達は期日までに確実に届ける、といった基本的なことを確実にこなすことです。
(高) 小売業に関して言えば、現在の中国ワイン業界において、小売はまだまだ未開拓の分野です。多くの小売店がワインをただ棚に置いているだけで、説明できるスタッフもいません。この場合、ワインの知識がないお客様は値段で判断するしかないですよね。つまり、我々は今後店舗を拡大する上で、お客様がより簡単にお好みの味のワインを見つけられるよう、店舗内のスタッフにアドバイスの方法を教育していきます。これを徹底して行えば、差別化に繋がると考えています。
−日本企業が中国でビジネスをする上で文化の壁等はありますか?
(安原) 上海はすごくオープンなマーケットなので、文化面での壁というのはほとんどないですね。逆に、中国人の方が経営するレストランやホテルに、私のような外国人が営業に行くと喜ばれることもありますよ。
−現在、欧米を中心に世界では金融危機、また中国では経済成長率がついに10%を切ったとのことですが、経済状況は御社のビジネスに影響を及ぼしていますか?
(安原) ほとんど影響はないですね。成長率が下がったといっても、マイナスまで暴落している国がある中、中国はまだ8、9%を維持していますからね。確かに人件費は今後益々高騰していくと思いますが、それでも国籍問わず良い人材は常に募集していきます。ただ、中国人以外の方を雇う場合にはその方の国の相場で給料を決定することもあります。その結果として平均的に欧米人が高い給料をもらっていますが、最近では金融危機で欧米の景気が悪いですから、相場も同様に変わってきていますね。こういった点では、我々は大企業ではないので、フレキシブルに対応しています。つまり、日本のような年功序列はなく、常に実力主義ということです。
(高) むしろ、我々のように輸入関連の事業に携わっている企業にとって、現在の金融危機というのは逆にチャンスですよね。例えば、2か月ほど前にはオーストラリアからの輸入ワインの価格が半分くらいまで下がり、まさに買い時でした。
−お二人が大学で培った経験・知識は実践で応用されていますか?
(安原) 私の場合、学生時代に、1年間アメリカに留学をしていたので、そこで英語と外国の方々との付き合い方を学びました。その時の経験は、現在のビジネスに非常に役立っていますね。また、その他大学で学んだ基本教育というのも意外と大事ですよ。例えば、今の大学生ならばエクセルやワードは授業でも習うから使いこなせると思いますが、今の40代、50代のサラリーマンがちゃんと使い方を知っているかというと、そうではないケースもありますよね。しかし、大学で学んだビジネスの知識というのは、正直な話、あまり覚えていないです(笑)。 実際にビジネスをしている中で、稀に思い出すことはありますけどね(笑)。
(高) 私も基本教育というのは大切だと思っています。それにプラスして、中国語、英語を話せればできる仕事の幅は広がってきますよね。ただ、今現在ビジネスをしている上で使っている知識というのは、ほとんど実践から学んだということが本当のところです。
−「漢和GROUP」の最終目標を教えてください。
(安原) 高とは異なるかもしれませんが(笑)、私個人的には、中国で売上NO.1のワイン輸入会社になることです。現在はアメリカの大手会社がNO.1の座についていますが、欧米の企業と競争をするという点でも、やる気が出ますね。やはり、自分でビジネスをしている限り、満足することは決してなく、逆に満足してしまったらそこで終わりだと思っています。
(高) 私も漢和GROUPを1番にしたいですね。まだまだ多くの企業が、中国の輸入ワイン市場に参入してきている、ということが現状ですが、いずれは、日本のように、中国でも数社によってマーケットがシェアされることになると思います。つまり、漢和GROUPは、まずその数社の中に生き残らなければなりません。
ビジネスをしている以上は、必ず「生き道」というものがあります。我々も開業してから3年目になりますが、例えば売上を伸ばす上で、毎年目標としていた数字がありました。そして、今後も事業展開を進めていく中で、毎年目標としていく「道」を設定していくことが重要となってきます。これが、我々の最終目標を達成する上で非常に大切なことですね。
−ワイン初心者へワインの選び方、飲み方に関してアドバイスをください。
(安原) まずは、自分のお財布と相談することです(笑)。 というのも、ワインは奥が深いので、安くても美味しいものはありますし、逆に高価であればあるほど美味しいかというと、そうでもないですよ。ですので、値段に惑わされずに、自分の好きなワインを飲むことが良いのではないでしょうか。
(高) 私も、自分の口に合うものが一番だと思います。また、その日のムードに合わせることも同様に重要ですね。例えば、彼女と飲むときと、仕事で飲む時とでは飲むワインは異なりますし、悩んでいる時なんかは、どんなに良いワインを飲んでも美味しく感じませんよね。それと、もう一つ。ソムリエさんが教えてくれるワインが100%美味しいとは限らないというのも押さえておくと良いかもしれません(笑)。
−最後に、上海の学生に一言メッセージをお願いします。
(安原) それぞれ皆さん、決意や目標を持って上海に来ていると思いますので、その目標に向かってぜひ頑張っていってほしいです。単純に、ずっと日本にいて学生生活を終えるよりも、沢山のことを経験できますし、長い人生においてその経験は必ず生きてきます。そのために、この留学している期間の毎日を大切に過ごしていってください。
(高) 私も昔、留学生として日本の大学に通いましたので、皆さんと同じ立場にいました。私は、皆さんがいち早く中国に来て、中国語を勉強しているので、将来はぜひ日中交流をより活発にするために貢献していっていただきたいです。そうすれば、この中国の大学で過ごした時間が皆さんの人生のプラスになるのではないかと思います。ぜひ、頑張ってください。
−ありがとうございました。
漢和GROUP
上海漢和貿易有限公司
董事長 高啓洋氏
総経理 安原久満氏
住所:上海市長寧区定西路788号凱陽大厦7楼C座
電話:021-6116-9550
FAX:021-6116-9551
インタビュアー:大江航
執筆:大江航
同行:中原周一、日高愛理、鳥谷拓真、渡辺由紀
校正担当:浜田あゆみ、新居翔太
<編集後記>
今回、初めて取材、執筆を担当させていただきました!董事長の高さん、総経理の安原さんとの出会いは、私が静安寺の久光で買い物をしていた時に、たまたま漢和GROUP様の店舗に寄り道した、というものでした。そこで、お二人が気さくに色々な話をしてくださったことをきっかけに、「もっと漢和GROUP様の裏側の話を伺いたい」、と思い、取材を依頼しました。私自身が将来自分の会社を持ちたいと思っていることもあり、今まさに中国でご活躍されているお二人から伺った話は、心に響き、とても勉強になりました!ぜひ、将来の参考にさせていただきます。ありがとうございました!(大江航)
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